MultiPep 1&2 ペプチド合成装置 FAQ
MultiPep 1&2 ペプチド合成装置:
MultiPepを用いてどれくらいの長さのペプチドの合成ができますか?
物理的制限はありません。現実的には、ペプチドのシーケンスと必要とされる純度に依存します。MultiPepは標準的な生物学的アプリケーションで用いられる10残基から30残基までのペプチドの合成に最適化されたパラレルペプチド合成機です。
どれくらいの量の合成ができますか?
MultiPepで合成されるペプチドのミリグラムでの量は、合成スケール(umol)× ペプチドの分子量 × 収率になります。例えば、14残基のペプチドでの理論的合成量は、5umol x 1500ug/umol = 7.5mgになります。標準的な収率は前記の値の50から80%になります。
MultiPepで合成されるペプチドの純度はどれくらいですか?
最終的なペプチドの純度は、シーケンスに非常に強く依存するため正確に予測することは困難です。また、アミノ酸によっては合成条件や切り出し条件に影響を受けるものもあります。シーケンスが作り出す立体構造が、続くペプチドの合成を制限する場合もあります。TentaGel S-RAMレジンを用いた場合、天然アミノ酸からなる15-20残基のペプチドは通常70%の純度になります。天然に存在するタンパク質の一部であるシーケンスについてはほとんどの場合これらの長さで80%が期待できます。
MultiPepで合成されたペプチドは精製が必要ですか?
精製が必要かどうかは、アプリケーションに依存します。いずれにしても合成されたペプチドは常にHPLCとマススペクトルでの純度確認が必要です。この結果によって、アプリケーションに必要な純度が得られていなければ精製が必要になります。標準的な免疫学的アプリケーションは、クルードの濃度で70-80%が得られていれば精製なしで結果が出ます。
MultiPepでの合成にはどれくらいの時間がかかりますか?
機械に付属するプロトコルは、ダブルカップリングを用いて1サイクル当たり約3時間です。ただし、これは、同時に合成されるペプチドの数とプロトコルに依存します。
MultiPepはドラフト内に設置する必要がありますか?
必要ありません。機械は溶媒が外に漏れない機構のキャビネットに内蔵されています。排気システムにつながる排気ダクトとチューブを機械に接続することが前提です。
MultiPepは動作させるために別途コンピューターが必要ですか?
MultiPepは標準のWindows10 PCからコントロールされます。グラフィクスを用いたソフトウェアがアミノ酸誘導体とシーケンスの定義、既存のタンパク配列からのペプチドシーケンスの生成、各試薬の使用量の計算、機器の動作コントロール、動作の記録のログファイルの生成を行います。(PC,ソフトウェアは本体価格に含まれます)
MultiPepを動作させるのにどの程度のプログラミングが要求されますか?
日常的にご使用いただく際には、ペプチドのシーケンスを決め、プロトコルを選び、試薬をセットして、合成開始の指示を出すことが要求される全てです。より経験を積んだユーザーの方には、研究の必要に応じてデフォルトのプロトコルに変更を加えていただくことが可能です。変更に必要なすべてのパラメータについてユーザーアクセスが可能です。
そのまますぐに使用可能なプロトコルが同梱されていますか?
全ての新規ユニットおよび追加購入標準オプションにテスト済みの最新プロトコルが付属します。試薬の調製に関する自動計算機能はソフトウェアに最初から装備されています。
MultiPepで合成スケールを変更することは難しいですか?
合成スケールを変更するために必要なことは、相当する合成用のプレートまたはカラムをセットし、相当する合成スケールのプロトコルを選択するだけです。数種類のスケールについてそれぞれ最適化されたプロトコルが製品に付属します。
合成メソッドの編集はできますか?
パラメータの微細な変更から、合成スキームの大きな変更まで、どんな編集も可能です。編集結果に合わせて必要試薬量の自動再計算が行われます。
全ての合成パラメータにアクセスが可能ですか?
合成サイクルはロボットの実行する個々のタスクの集まりからできています。ソフトウェアは、これらのタスクのパラメータすべてにアクセスが可能なように作られており、お客様による既存メソッドの編集や新規メソッドの作成が可能になっています。
装置が何を実行したかの記録がありますか?
装置が実行したすべての動作は、コンピュータのハードディスクに自動的に記録されます。このファイルは、標準のテキストエディタで開くことができます。
MultiPep専用の試薬キットを購入する必要がありますか?
専用の試薬キットは必要ありません。研究室にある標準的な試薬がそのままご使用になれます。 一方CEMは固相ペプチド合成に最適化された、通常合成、マイクロウェーブ照射合成の両方のためのほぼすべての試薬を提供しています。この試薬には、高純度の標準及び特殊なFmocアミノ酸、PEGやポリスチレンベースのレジン、強力なOxyma Pure活性化剤が含まれます。CEMの高品質試薬を、CEMの高機能な装置とそのメソッドと合わせてご使用になることで、高純度のペプチドを得ることができます。
MultiPep専用のレジンを購入する必要がありますか?
CEMの固相ペプチド合成用レジンは、高品質で、標準的または合成が困難なペプチドのために種々のリンカーとともに最適化されています。付属のプロトコルはTentaGel S-RAMレジンに最適化されていますが、ほとんどすべての固相ペプチド合成用レジンが使用可能です。
一般的な市販の試薬を用いることができますか?
できます。MultiPepは経済的に動作するように設計されています。溶媒と活性化剤は一般の、評判の良い供給源から購入できます。特定の合成1回1回に必要な試薬量が表示され、その分を量り取って溶解し、用いることができます。
MultiPepはどの化学合成法に対応していますか?
機械に付属のプロトコルは、旧来のBoc法より危険の少ないFmoc法に最適化されています。機械は、ペプチドやPNAなどのポリアミドを数マイクロモルの小スケールで、96穴プレートまたはマイクロカラムで合成することを念頭に設計されています。合成プロセスは、ウロニウム系活性化剤のHBTU/NMMやその類似物を用いる化学合成法を用いて最適化されています。
一方48または72カラムモジュールを用いて、それぞれ独立のカラムを用いる10-300マイクロモル合成を行うこともできます。それぞれのスケールに最適な試薬量と液量が設定されています。シーケンスと化学合成パラメータに従って、単一のニードルで試薬を吸引し、合成モジュールのウェルやカラムに注入します。
MultiPepでBoc法を用いて合成することができますか?
出来ません。TFAが機械を腐食し、寿命を大きく縮めてしまいます。
合成中に攪拌・振とうはできますか?
MultiPep1の8カラムモジュールには標準オプションとして回転式シェーカーが付属します。
MultiPep2の48カラムモデルには、標準オプションとして回転式シェーカーが付属します。
MultiPep2の72カラムモデルは、オプションとして回転式シェーカーを選択することができます。
試薬が拡散によって十分浸透するその他の小スケールの合成ユニットには、シェーカーのオプションの設定はありません。
窒素雰囲気下で合成ができますか?
合成中にペプチドが参加されることはほとんどないため、MultiPepは標準ではガスパージ機能を持っていません。ただし、必要であればポートを付加することができます。
MultiPep上で切り出しを行うことができますか?
切り出しは、機械の外でマニュアルで行う必要があります。(TFAの仕様は、機械の寿命を極端に短くします)48カラム合成オプションには、専用の切り出しユニットがあります。このCleavageProは、レジンからの切り出しを自動で行います。
MultiPepで蛍光アミノ酸や非天然アミノ酸を入れた合成ができますか?
出来ます。標準的なカップリング法が適用できれば、Fmocのついたどのようなビルディングブロックも使用することができます。MultiPepは、標準的なカルボン酸化合物のin situ活性化を使用しています。48種類までのビルディングブロック溶液を自動合成の為にワークエリア上に置くことができます。特定のDerivative(誘導体)のために異なる活性化法(カップリングタイプ)をDerivative Table(誘導体リスト)で指定することも可能です。
カップリング効率はどれくらいですか?
機械に付属の最適化されたプロトコルと、高活性の活性化剤を用いた場合カップリング効率は99%を超えます。ただし、この効率は、ペプチド毎に特有のシーケンスに依存する合成困難さによって大きく落ちる場合があります。
MultiPepには合成をモニタリングする機能はありますか?
ありません。MultiPepは最適化された合成プロトコルに従って合成を行います。合成過程に由来する問題は、合成産物のペプチドからマススペクトル分析によって解析していく必要があります。
失敗した合成を次回の為に最適化することができますか?
MultiPepのマニュアルには、いくつかの合成の最適化の方法が記載されています。例えば、反応時間を延ばす、ダブルカップリングを適用する、異なる誘導体を使用する、などです。これらを適用することで、ほとんどのシーケンスは、満足すべき純度で合成することができます。
どうやって合成担体からペプチドを切り出すことができるのですか?
ペプチド切り出しとその後の処理の方法が提供されています。簡単に説明すると、レジンを酸(TFA)で処理し、ペプチド溶液を濾し取り、エーテルで沈殿させ、沈殿を集めて再溶解し、凍結乾燥を行います。
どの合成プレートがMultiPepに標準付属していますか?
5umolが標準スケールであるため、このスケールの合成プレートとこのスケール用のアミノ酸バイアルが標準付属します。このプレートは5umol未満のスケールでの合成にも使用することができます。0.25mmol/gローディングのTentagel S=RAMを用いたこの5umolスケールでの合成の実績があります。5-10umolの合成は、より高いローディングのレジンを使うことで可能です。
空の96穴の合成プレートにどうやってレジンを充填するのですか?
合成プレートのそれぞれの空隙にレジンを詰めるには、あらかじめレジンのスラリーを作り、それを各ウェルにピペットで注入にします。
実際に合成が可能なペプチドの長さはどれくらいですか?
MultiPepソフトウェアに関しては、ペプチドの長さに制限はありません。MultiPepで合成する10-20残基のペプチドに関しては、精製することなくそのままスクリーニングにご使用いただけます。これより長いペプチドも合成可能ですが、精製が必要になる場合があります。製品付属のプロトコルは、最適化されたダブルカップリングを用いて、高品質のペプチドを合成することができます。
96ウェルプレートを用いた合成中にレジンの攪拌は行われますか?
カップリング中にミキシングは行われません。最初に高流速でレジンベッドに活性化アミノ酸が注がれることでレジンが攪拌され、その後この活性化アミノ酸がレジンビーズの空隙を埋めることによって合成が行われます。反応を加速するために高濃度で、かつ拡散を促すのに十分な量の試薬量が使用されます。プレート自身の攪拌を行なおうとすると、さらに大容量を必要とし、結果として低効率であるの低濃度試薬の使用を余儀なくされることになります。
合成中にレジンが膨潤することによる問題は起きませんか?
MultiPepによる合成には、POE-PSタイプ(例えばTentaGel)が、物理的に有利な性質を示しながら合成中の体積変化が少ないという点でお勧めです。膨潤はレジンベッドに空隙ができるレジンの収縮ほどは問題になりません。この収縮の問題は、サイクルの中で繰り返し溶媒を交換することによって、防ぐことができます。この溶媒交換は、レジンの収縮の原因となるペプチド鎖のアグリゲーションを解消するという意味でも有効です。
合成されたペプチドの保存におすすめの方法はありますか?
ペプチドを凍結乾燥して-80℃に置くことで数年間保存できます。
使用時には、ペプチドをデシケータ中で室温に戻した上で、開封・秤量を行ってください。水で溶かす前に、凍結乾燥ペプチドの入ったバイアルを12,000gで20秒間遠心してください。システイン、メチオニン、トリプトファン、アスパラギン、グルタミン、N末端のグルタミン酸を含むペプチドは、保存可能期間が短いことにご注意ください。
レジンからは切り出されているが、側鎖の保護基がついたままのペプチドを得る方法がありますか?
一般的に用いられるRinkレジンに換えてFmoc-Ramage-Amide-Resin (Nova, Iris)をお勧めします。保護基がついたままのペプチドをこのレジンから3%TFAを含むDCMで切り出すことができます。このレジンはC末端アミドを与えるものであることにご注意ください。C末端acidが必要な場合は、TCPレジンを用いて、HFIP(Hexafluoro isopropanol, 25%(v/v)で切り出すことによって、側鎖の保護基が付いたままのペプチドを得ることができます。
合成完了したペプチドを、どのくらいの間室温で合成機にセットしたままにしておけますか?
NMPまたはDMF中である場合、一晩は問題ありません。これより長くなる場合は、装置から容器をとりだし、DCMでレジンを洗浄して乾燥状態で保管することをお勧めします。
側鎖の保護基は除去されているが、レジンに結合した状態のペプチドを得るにはどうしたらよいですか?
Wangレジンを用いて合成し、25%TFAで側鎖の脱保護を行ってください。 別法として、Shepardレジン(HMBA-AMレジン)を用いて、25%TFAで側鎖の脱保護を行うこともできます。
小スケールのフィルタプレート合成の収率を上げるにはどうしたらよいでしょうか?
Ramageレジン(Nova,Iris)を用いると、ペプチドを短時間かつ少量のCleavage Cocktailで切り出すことができます。
MultiPep1やMultiPep2を用いてPNAを合成するにはどうしたらよいでしょうか?
以下の設定をお勧めします:
PNA モノマー:0.3Mの濃度でNMPに溶解し、新しいCoupling typeを指定する
Activator:HATUまたはPyAOP(0.6M濃度溶液)(PyAOPは毎日交換。HATUはより安定)
Base mix:DIPEA/2,6-lutiine(1.2/1.8M in DMF)二つのBaseを20.09% in DMF(v/v/v)になるように混合。
ラセミ化を少なくするためにはどんな手段がありますか?
全ての合成ペプチドには、約1%のラセミ化が起きています。ラセミ化はペプチドをより安定化させ、misfoldinを誘発します。フェニルアラニンとヒスチジンがラセミ化を起こすアミノ酸です。ヒスチジンは、50℃以上になると容易にラセミ化を起こします。DICとOxymaの組み合わせはラセミ化を軽減します。PyOximとNMMの組み合わせはよりラセミ化しやすく、HBTUとNMMの組み合わせはさらにラセミ化が起きやすくなります。
アスパラチミド形成を軽減する方法はありますか?
合成の過程でのFmocの脱保護に0.1Mのギ酸を含む20%ピぺリジン(DMF中)を用いることが、アスパラチミド形成副反応を防ぐのに有効です。
ペプチド合成の基本溶媒としてDCMを用いることはできますか?
DMFやNMPに比べてDCMはアミノ酸の溶解性に劣ります。 純粋なDCM中でのPyOxim活性化剤で活性化したアミノ酸の安定性は、DMFやNMP注出の物よりも劣ります。
合成されたペプチドにFITCを付加する方法はありますか?
以下の方法があります:
3当量のFITC(Florescein-5-isothiocyanat)をNMPに溶解します。
溶解されたFITCに6当量のDIPEAを加えVortexします。
上記の液体をレジンについたままのペプチドに加えます。
一晩インキュベートします。
NMPと次いでDCMで洗浄します。
注意事項:アルファアミノ基のカップリングにFITCを用いないでください。TFAによる切り出しが行われると部分的なEDMAN分解が引き起こされるからです。FITCを例えばペプチドのN末端に付加したい場合は、Ahxなどのリンカーを用いてください。
密閉されていないバイアルに入った活性化剤はどのくらいの間隔で交換したほうが良いでしょうか?
COMU, PyBop, PyOximは毎日交換してください。HATU, HBTU, HCTUは3日持ちます。
合成したペプチドの分子量が98大きいです。何が起きていて、どういう防止法があるでしょうか?
アミノ酸誘導体に比べて活性化剤が過剰です。Tetra-methylguanidiumによる停止反応生成物が形成されています。活性化剤を等当量またはわずかに少なくしてください。アミノ酸ビルディングブロックが常に過剰になるようにしてください。
合成したペプチドの分子量が96大きいです。何が起きていて、どういう防止法があるでしょうか?
TFAが結合しています。ペプチドを0.1Mの重炭酸アンモニウムに溶解してそのまま凍結乾燥するとTFAを除去することができます。
アセチル化リジンを合成に用いることはできますか?
Fmoc-Lys-(Zc)-OH CAS#159766-56-0を入手して、MultiPep1または2に付属のメソッドの標準のカップリング方法で結合させることができます。
Ahxの親水性版に相当するスペーサーは何でしょうか?
Fmoc-8-amino-3,6-dioxacoanoic acid をAhxに換えて用いることをお勧めします。
MultiPepには専用のドラフトが必要ですか?
排気用の10cmのダクトと10mmのPPチューブをドラフトに引き込むだけで大丈夫です。本体をドラフトから2m以内に設置することをお勧めしますが、ドラフトの中に入れる必要はありませんし、専用のドラフトも不要です。
MultiPepの主な機能はどのようなものですか?
MultiPepの主な機能は下記のとおりです:
- あらかじめテスト済み、最適化済みのプロトコルが機械に付属する
- 多数の試薬を使用することができる広いワークエリア
- アミノ酸のストック液が使用可
- 長鎖または合成困難なペプチドのためのプロトコルも別途供給可
- プレートまたはカラムでのパラレル合成
- 未精製で1-150mgの広範囲な合成スケール(1,5,10,25,50,100-300マイクロモルの合成スケール)
- 固定パーツのみからなるカラムモジュールと少ないデッドボリューム
- 反応モジュールの清掃が必要ないディスポのプレートとカラム
- 合成過程をすべて目視で確認、コントロールできる構造
- 合成後のプレート・カラムからの容易な切り出し手段を提供
- 少ない試薬・溶媒使用量
- Win10のPC上で最新の最適化済合成プロトコルが動作
- 直感的操作のグラフィックコントロールソフトウェア
- 全てのパラメータにアクセスが可能なパワフルなソフトウェア
- シーケンス入力、メソッド作成、コンフィグレーションの全てが共通のグラフィックインターフェース上で動作
- 合成パラメータすべての文書化・記録が可能
MultiPepの大きさはどれくらいですか?
MultiPep 1: 580(W) x 530(D) x 720(H) mm
MultiPep 2: 890(W) x 650(D) x 790(H) mm
MultiPepの設置には他にスペースが必要ですか?
本体の他に必要なスペースは下記のとおりです:
付属品と必要スペース:
本体の横に溶媒ボトル(2L x 2またはそれより大きなもの・多数)
本体の横にノートPC(600 mm)
上側に開くドアのためのスペース (600 mm)
実験台の下に排液タンク (10L または 20L), condensation bottle (500mL), 真空ポンプ(300 x 500mm)
MultiPepでのSPOT合成:
SPOT合成とはどんなものですか?
セルロースメンブレン(誘導体化したろ紙)上に直接ペプチドアレイを合成するものです。メンブレン上に600のペプチドが合成でき、同時に圧制することが可能です。同じアッセイがCelluSpotsでも可能で、こちらは、より少ない液量でアッセイができ、アレイの同一コピーを500枚まで作成することができます。血清を用いての大規模スクリーニングにはこのCelluSpotsをお勧めします。 SPOT合成法は、Ranold Frankによって開発された、均質なメンブレン担体上のそれぞれ異なる部分に複数のペプチドを同時に合成する方法です。合成法の原理は、多孔質のメンブレン上のあらかじめ決められた位置に少量のあらかじめ活性化されたアミノ酸誘導体を滴下するものです。液滴はメンブレンに吸収され、それぞれその位置で固相合成の化学反応環境を生成します。一枚のメンブレンの上に非常に多数の個別のスポットを配列することができ、それぞれに反応試薬をマニュアルまたは自動化機械で滴下することで合成を行うことができます。面積当たりのスポットの数とスポットの径は、メンブレンの吸収特性と液滴の量で決まります。合成担体の特性上、スポットサイズと合成スケールの間には相関性が存在します。最初にRonald Frankによって用いられた誘導体化セルロースのろ紙が、現在でも最も多く使用される担体です。
基本的な合成方法はどのようなものですか?
ペプチド合成は、サイクルを回していく手順で行われ、1つのアミノ酸を付加する度に下記のステップが実行されます。
Step1: DMF洗浄
Step2: EtOH洗浄
Step3: 真空引きでメンブレンを乾燥し、同時にアミノ酸の活性化を行う
Ste;4: 活性化されたアミノ酸をスポットし、反応時間の間待機
Step5: キャッピング(必要な場合)
Step6: DMF洗浄
Step7: Fmoc脱保護
1-7の合成ステップを希望するペプチドが合成されるまで繰り返す
ペプチドが組みあがった時点で、別のプロトコルを用いて、側鎖の保護基を適切なスカベンジャーを含むTFA溶液で除去する。
スポットのためにすべてのアミノ酸をあらかじめ活性化しておく必要がありますか?
いいえ。サイクル毎にそこで必要なアミノ酸をMultiPepが活性化することできます。それぞれのアミノ酸に専用の活性化バイアルがあります。もちろん、すべてのアミノ酸をあらかじめ活性化しておく使い方も可能です。
CEMから供給される試薬はどれですか?
バイアル入りのバルクのFmocアミノ酸があります。DIC/Oxyma Pureで活性化することができます。他の溶媒や試薬などは、それぞれ地域の販売店から購入していただく必要があります。必要試薬のリストとその供給源の情報を提供させていただきます。MultiPep納品時のトレーニングで実際の合成をおこなうことができるように、リストに基づいてあらかじめ試薬を購入されることをお勧めします。
SPOT合成から得られたデータはどのように評価されますか?
検出は、ほとんどの場合、例えば蛍光、ケミルミ、electrochemiluminescence、放射性同位体などのラベルされたプローブによって行われます。データ保存とサンプルの濃度測定は、通常はフラットベッドスキャナーで、放射性リン酸取り込みによるラベルの場合はフィルムによって行います。ほとんどの場合ケミルミでよい結果が得られますが、非常に低い親和性の反応の検出には感度の高い蛍光を使うこともできます。セルロースが自家蛍光を持つため、蛍光は赤外領域のラベリングをお勧めします。検出とデータの扱いについては標準的な技法のため、弊社は特にサポートはいたしません。
MultiPep SPOT仕様モデルが行うことは何ですか?
MultiPep SPOT仕様モデルは、アミノ酸誘導体をメンブレン上のアレイ合成の為に高い信頼性で配置するために開発されました。Win10のPCでコントロールされるロボットが最小100nLの液体を最大数千の個別のスポットに正しくスポットします。ワークエリアにはマイクロプレートフォーマットのメンブレン4枚を設置することができます。標準のアレイグリッドはメンブレンあたり384または600ですが、1000のスポットを配置した記録もあります。グリッドは自由に設計することが可能です。1回の合成(Run)の中で天然アミノ酸や非天然アミノ酸を含む48またはそれ以上の誘導体を使用することできます。
メンブレンは、装置上で脱保護できますか?
はい。MultiPepはサイクル毎にメンブレン上にピぺリジン溶液をスポットしてFmoc保護基を切り離します。メンブレンは、MultiPepは全自動合成装置なのでメンブレンは、合成全体を通して装置上にセットされたままで合成が進行します。
どのようにメンブレンは洗浄され、乾燥されて、次のカップリングに備えるのでしょうか?
メンブレンはホルダーにしっかりとクランプされているため浅いトレイの様になっています。底には小さな穴が開いており、溶媒を真空引きで除去できるようになっています。メンブレンの上面に溶媒が注がれ、メンブレンを通して、真空引きで溶媒が除かれます。エタノールが注がれて乾燥の為に長い真空引きが行われている間に、次のビルディングブロックの活性化が行われる仕組みになっています。
メンブレン上全体にペプチドが合成されても洗浄は充分に行われますか?
はい。メンブレンに液を通過させる洗浄法は非常に有効でかつ洗浄溶媒を節約できます。この洗浄法は、プラスチックのトレイでメンブレンをマニュアルで洗浄するよりも効果的です。
反応をモニターするためのBPB染色を行うことはできますか?
合成進行中のペプチドのアミノ基を染色するために、BPBを注ぐステップをMultiPepでプログラムすることができます。マニュアルで合成するときと同様に、次のカップリングでBPBの染色は除去されます。
試薬が運ばれているスポットの部分だけが洗浄されるのでしょうか?
いいえ。例えば、1つのスポットだけがカップリングされる場合でも、メンブレン全体を洗浄する必要があります。ただ、これは極端な例で、普通はメンブレン上のペプチドは同程度の長さのものが多く、メンブレン上のかなり大きな部分にわたって多数がスポットされています。
ピぺリジンのキャリーオーバーが起こる可能性はないでしょうか?
ピぺリジンは、大過剰で使用されるため、完全に除かれる必要があります。洗浄過程は次のカップリングが始まる前に、前のステップの全ての試薬が完全に除去されるようにデザインされています。
MultiPepでメンブレン当たり600を超えるスポットを作成するようにできますか?
現在のところ、我々自身の経験は比較液容易なメンブレン当たり384と600スポットに限られています。非常に高密度のアレイを作成するためには、非常に細いニードルチップが必要とされ、このニードルチップではミキシングが適切に行われないため、マニュアルですべてのアミノ酸の活性化を行う必要が生じます(1日1回)。
Boc-Lys(Fmoc)-Proリンカーを使って、QC/QA用にジケトピペラジンペプチドを切り出すことができますか?
出来ます。
10残基のペプチド600スポットを合成するための時間はどれくらいですか?
推奨条件である2x30minのダブルカップリングと2x5minの脱保護、すべての洗浄、乾燥時間を含め、サイクルタイムは3時間ほどになります。つまり、10残基のペプチド600スポットは、丸1日強で合成できます。
合成を中断し、また再開することができますか?
MultiPepによる合成は、いつでも停止、再開できます。途中でマニュアル操作(例えば、BPB染色や非常に特殊な誘導体の導入)を行い、自動合成を再開するための便利な機能が装備されています。
メンブレン上でのペプチド密度はどのくらいですか?
中心間距離4.2mmで600ペプチドが標準です。他のフォーマットも自由に設定可能です。25x40のアレイのスポットの実績がありますが、非常に多くの最適化が必要です。
スポット1つにはどれくらいの量のペプチドが含まれますか?
CEMが販売するメンブレンは、300-400nmol/cm2のアミノ反応基を含みます。スポットのペプチド量は、これを基に計算することができます。例えば:6mm径のスポットは80nmol、3mm径のスポットは20nmolのペプチドを含むことになります。
どのようなPCが必要ですか?
SPOT合成のソフトウェアはほとんどすべてのWin10PCで動作します。ただし、ネットワークから切り離されている必要があります。また、他のアプリケーションを同時に動作させると速度が低下する場合があります。製品にはノートPCが付属します。
ソフトウェアの機能はどのようなものでしょうか?
MultiPepでのSPOT合成の自動化に際しては、大規模なアレイを扱う必要があるため、強力なソフトウェアが必要になります。シーケンスはソフトウェア上で入力が可能なほかに、他の情報源から1文字コードを用いたテキストファイルでインポートすることが可能です。ベースとなるタンパク質またはペプチドのシーケンスから、合成するペプチドシーケンスを作成するための機能もあります。
自動作成できるペプチドシーケンスの例:
- 個々のペプチド(1つ1つ入力)
- 類似シーケンス(置換するアミノ酸を指定)
- オーバーラップする一連のペプチド(タンパクシーケンスから)
- 段階的に異なる長さのオーバーラップするペプチド(タンパクシーケンスから)
- 最大2つの位置のアミノ酸を任意のものに入れ替えてのペプチドライブラリ(ライブラリ)
- アラニンウォーク
- N末端またはC末端からの段階的短縮
シーケンスは1文字コード(OLC)または複数文字コード(MLC)で入力します。セットできる場所の数には制限がありますが、ソフトウェアが扱うことのできるアミノ酸誘導体の数に制限はありません。このため、一回の合成(Run)で天然、非天然のアミノ酸を同時に使用することが可能です。ソフトウェアが扱うことのできるペプチド長に制限はありませんが、現実的には、SPOT合成では、ペプチドは15-30残基の長さに抑える必要があります。
SPOT合成の化学:
どの化学合成法を使用していますか?
SPOT合成はFmoc保護を用いる化学合成法で、誘導体化された純粋セルロースからなるメンブレン上に合成を行います。使用するアミノ酸ビルディングブロックは、アミノ末端を9-fluorenyl-methoxycarbonyl(Fmoc)で保護した誘導体です。この保護基のために1つのステップで1つのビルディングブロックのみを伸長するペプチド鎖にカップリングされることが保証されます。このFmoc基は、1合成サイクル毎に除去される必要がありますが、他の側鎖の保護基は、合成終了時まで除去されないようにする要があります。この合成ではDIC/Oxyma Pureを用いてアミノ酸のin situ activationとカップリングを高速に行います。1枚のメンブレン上に多数の独立したペプチドが合成され、ウェスタンブロットに準ずる方法でペプチドのスクリーニングを行うことができます。一方、ペプチドの合成の前段階で適切なリンカーを用いれば、スポットをカットして個別に切り出しを行うことも可能です。
MultiPep(SPOT)で溶解可能なペプチドを作成することはできますか?
切り出す場合は、SPOTメンブレン上に切り離し可能なリンカーを付加する必要があります。β-Alaのメンブレンであれば直接切り出しが可能ですが、この場合、C末端は修飾されます。 切り出し可能なペプチドが欲しい場合は、96 well plateでのレジン合成をお勧めします。これに適したレジンが入手可能です。
SPOT合成のための専用プロトコルがありますか?
SPOT合成専用のプロトコルが、反応機序と必要な誘導体の説明とともに取扱説明書に記載されています。また、SPOT合成の種々のアプリケーションに関する論文中にもそれぞれのためのプトロコルが記載されています。論文リストの用意もございますので、ご請求ください。
メンブレン上での検出アッセイのためのプロトコルはありますか?
非常に多種類のアッセイがありそれぞれにノウハウが必要なことから、CEMはアッセイプロトコルは提供しておりません。これらは論文に記載されており、SPOT合成に関する論文リストには600を超す論文が掲載されています。マニュアルは、機器のセットアップ、ペプチドシーケンスの決定、試薬の準備、合成の実行、合成後の側鎖の保護基の切り離しのみに集中して詳述しております。つまりマニュアルに記載されていることは、そのままアッセイが行えるメンブレンを準備するところまでです。
メンブレンの再生のプトロコルは提供されますか?
メンブレンを再利用するためには、最初の実験ですでにメンブレンに結合しているタンパクを引きはがす必要があります。この引きはがし、再生、その後の保存条件とこれらが次のアッセイパフォーマンスに与える影響については未知の部分が多くあります。通常は、メンブレンは乾燥後次のアッセイの為に再生されますが、結合済みタンパクの引きはがしが完全でない場合は、次のアッセイに使うことは出来ません。CEMはメンブレン再生のプロトコルは提供いたしません。それぞれのアッセイに関する論文をご参照ください。
ペプチド合成の信頼性(純度、量)はどのようにして評価しますか?
それぞれのユーザーが自分のアッセイに用いるリファレンスシーケンスとの比較を行う場合を除き、一般的な評価の方法は存在しません。SPOT合成において純度と量をチェックするのは非常に困難ですが、いくつかの論文に用いられた方法が記載されています。一般的には、自分のアッセイに用いるリファレンスとしての内部標準について評価を行うことになります。
SPOT合成できるペプチド長について、化学的な限界はありますか?
10-25残基を超えるペプチドの合成はお勧めしません。25残基を超えると、おそらく立体障害の為に、品質が急激に低下することが知られています。
メンブレンの化学的安定性はどの程度ですか?
メンブレンは、表面硬化処理をしたセルロースで、ポリエチレングリコールスペーサーをつけて誘導体化しています。スペーサーは、pH1-14において安定です。支持体の紙自身は、合成条件において安定ですが、長時間強い酸にさらされると劣化します。酸に関しては、希釈されたTFAでの1-2時間の処理が化学的安定性の限界です。
引きはがし(ストリッピング)を繰り返すと、ペプチドが失われますか?
初期の論文にあるプロトコルは、メンブレン(ろ紙)をβアラニンのエステル結合によって誘導体化していました。この結合は弱アルカリの条件下で切断されます。つまり、pH8で数時間置くと、ほとんどのペプチドが失われることになります。1998年に新しいPEGスペーサーが導入され、この問題はなくなりました。旧プロトコルに従ってβアラニンのメンブレンを作っているユーザーがおられれば、この問題が内在することになります。
メンブレンのローディング(当量)はどれくらいになりますか?
メンブレンは、300-400nmol/cm2のフリーのアミノ基(500Da分子量のPEGスペーサー付き)で誘導体化されています。
メンブレンのバリデーションはどのように行われていますか?
メンブレンは、標準化された製造プロトコルと、製造過程でのいくつかのQCステップで、頻出が保証されています。アミノ基の誘導体化の量に関しては、BPB結合とその光学的検出で決定することができます。
どんな種類のメンブレンが提供されますか?
CEMはPEGスペーサーが付いたアミノ基で修飾されたメンブレン1種類だけを提供しています。
SPOT合成のアプリケーション:
MultiPepでPNAアレイを合成することができますか?
PNAは非常に興味深いDNA様分子で、アミノ酸に類似したビルディングブロックによってできています。PNAスポットアレイはDNAハイブイゼーションに用いることができます。プロトコルについては、Jörg Hoheisel et al.の論文をご覧ください。
MultiPepのSPOT合成で蛍光ラベルされたペプチドを作成することができますか?
何人かのユーザーの方が蛍光ラベルされたペプチドを作成されています。ローダミンをコントロールシーケンスに結合することで、合成をモニターすることができます。ただし、開放環境で合成されることから、フォトブリーチングの問題が予想されます。
SPOTペプチドアレイをプロテアーゼのアッセイに使用することはできますか?
メンブレン上の非常に少ないペプチドしか、酵素がアクセスして切断することができないため、プロテアーゼアッセイは非常に困難です。このため、切断によってシグナルが消失するアッセイは行うことができず、切断された産物を検出することができるのみです。このため、アッセイを行う前にスポットを切り取る必要があり、手間がかかります。
SPOTペプチドアレイを用いて、キナーゼのアッセイをすることができますか?
ラベルされたメンブレンを直接X線フィルムに露光することできるため、キナーゼアッセイは、SPOTペプチドアレイに最適なアプリケーションです。この種のアッセイに関する複数の論文がリストに掲載されています。
MultiPep SPOT合成仕様モデルの主要な機能はどのようなものですか?
MutiPepSPOT合成仕様モデルの主要な機能は下記のとおりです:
- 証明済みの確立されたプロトコルが機械に付属
- 多数の試薬のための大きなワークエリア
- アミノ酸溶液ストックの使用
- 最適化されたプロトコル
- MultiPep1は、2枚のメンブレン,2x600ペプチドをパレレル合成
- MultiPep2は、4枚のメンブレン,4x600ペプチドをパラレル合成
- 合成の過程を直接見ながらコントロールが可能
- 合成後のワークアップが簡単
- 溶媒と試薬の消費量が少ない
- 最新の最適化プロトコルを用いるPCコントロール
- 直感的なGUIソフトウェア
- 全てのパラメータにアクセスが可能な強力なソフトウェア―
- シーケンス、メソッド、トレイエディタの全てを含む1つのGUI
- 全ての合成パラメータの記録を作成
CelluSpots合成とは何ですか?
セルロースに結合したペプチドのアレイがコートされた顕微鏡スライドに載っているものです。スライド上に384ペプチドのデュプリケートがあります。ペプチドはセルロースディスク上で作成され(SPOT合成と同様の方法)、ディスクごと溶解されてスライドグラス上にプリントされます。一回の合成で500枚までの同一コピーのペプチドアレイが作成可能なため、大規模なアッセイを行うことができます。血清ストックの大規模スクリーニングにお勧めできます。
SPOT合成されたアレイを用いて行うことのできるアッセイにはどのようなものがありますか?
SPOTアレイの主要な用途は以下の通りです:
ペプチド-抗体相互作用
ペプチド-レセプター相互作用
ペプチド-酵素相互作用
ペプチド-タンパク相互作用
ペプチド-微生物相互作用
ペプチド-金属相互作用
ペプチド-DNA相互作用
ペプチド改変(非天然ペプチド)アッセイ
*SPOT合成論文リストをご請求ください
SPOTアレイ上に高密度で集積されたペプチド分子同士の干渉を防ぐ方法はありますか?
メンブレン上のアミノ基の一部をブロックすることで、ペプチドの密度を低下させ、問題の発生を防ぐことができます。スペーサーの付加も有効です。
SPOT合成のメンブレンには何が結合しているのですか?
メンブレンのセルロース分子にPEGスペーサーが結合し、それにNH2が付いています。
SPOT合成されたペプチドの純度をテストする方法がありますか?
TFAで切断されるリンカーをペプチドのC末端に入れて合成し、合成後にペプチドを切り出してMS解析します。Fmoc-Rink linker (Novabiochem)をお勧めします。
SPOT結合において、アミノ酸同士をつなぐアミド結合ができていることを合成後または合成中に確認することができますか?
N末端のアミノ基をBPBで染色することで可能です。アミノ基は末端のアミノ基の存在を示します。 別法として、合成されたペプチドを254nmのUV光で観察することができます。メンブレンをUVで照明すると、ペプチドは自家蛍光によって明るいスポットとして現れます。 注意すべきことは、BPBの染色濃度も、UVの蛍光の明るさも、ペプチドのシーケンスに強く依存するため、定量的な判定は不可能であることです。
SPOT合成されたメンブレンは、どうやって保存したらよいですか?
最後の脱保護をせず、かつTFA切り出しもしなければ、すべての保護基がペプチドに付加したままになります。この状態のメンブレンをヒートシールされたプラスチックバッグの中でマイナス20度で保存すれば、ペプチドを劣化させずに長期間保存できます。使用する際は、プラスチックバッグを室温に戻してから開封し、Fmocの脱保護と、側鎖の脱保護を行うことを忘れないようにしてください。
SPOTメンブレン上のシステインを含むペプチドに対して、抗体が非特異的に結合する現象が見られました。これを防ぐ方法はありますか?
システインは、ジスルフィド結合を作るほか、多数のアッセイにおいて期待されない結果をもたらします。システインをセリンに置き換えることで、結果が改善される場合があります。
CelluSpots合成で合成フレームの下に敷くろ紙のブランドは何が良いですか?
Whatmanの540または541をお勧めします。
CelluSpotキナーゼアレイのペプチドリスト(ご請求ください)中の”consensus sequence”とは何を意味していますか?
Consensus sequenceはアレイ上のシーケンス群全体に共通する部分を最大にした(最大公約数的)人工のシーケンスです。これらは共通のシーケンスとしてポジコンまたはネガコンとしてチロシン・セリン/スレオニンキナーゼアッセイでご使用いただけます。
SPOTメンブレンからのペプチドの切り出しはどのようにして行いますか?
Fmoc-Rink-Linkerを最初のアミノ酸として付加してください。ペプチドを切り出すスポットをメンブレンから切り取り、cleavage solutionを加えます。Rink-Linkerが切断され、C末端がアミドのペプチドが得られます。
SPOT合成したペプチドの一部のN末端がアセチル化されました。これを防ぐ方法がありますか?
最後のアミノ酸にBoc誘導体を用いてください。これで、ろ紙とその下の排液機構に残るわずかな無水酢酸によるアセチル化を防ぐことができます。
NMPに溶解したアミノ酸はどのくらいの間保存できますか?
システインとメチオニンを除けば、アミノ酸溶液は4℃で1か月まで保存できます。粉末アミノ酸の劣化がある場合、グルタミンとアラニンは、この間に沈殿を生じる場合があることにご注意ください。
分岐したペプチドを合成するにはどうしたらよいですか?
Fmoc-Lys(ivDde)-OH, CAS No.: 204777-78-6を使用してください。Fmoc基はピぺリジンで、ivDde保護基は2%ヒドラジンin DMFで選択的に取り除くことができます。
MultiPepの仕様:
MultiPepを使ってどのくらいの量のペプチドを合成することができますか
MultiPep1
プレート :
最大384 (4 x 96) ペプチド、それぞれ 1-10 μmol / 2 mg – 10 mg
カラム :
48 マイクロ (0.5 mL) または 24 ミニカラム (1.0 mL) ( 1-15μmol / 2 mg - 20 mg)
8 カラム (2,5,10 mL) - 10-300μmol
SPOT合成:
最大 1200 ペプチドをセルロースメンブレン上に合成
CelluSpotsTM 合成:
最大 768 ペプチドを可溶性セルロースサポート上に合成。多数の同一アレイスライドが作成可能。
Mulitipep2
プレート :
最大384 (4 x 96) ペプチド、それぞれ 1-10 μmol / 2 mg – 10 mg
カラム :
48 マイクロ (0.5 mL) または 24 ミニカラム (1.0 mL) ( 1-15μmol / 2 mg - 20 mg)
48 カラム (2,5,10 mL または 20 mL(12カラム)) - 10-500μmol
72 カラム (2,5 mL または 10 mL (36 カラム)) - 10-300μmol
SPOT合成:
最大 2400 ペプチドをセルロースメンブレン上に合成
CelluSpotsTM 合成:
最大 768 ペプチドを可溶性セルロースサポート上に合成。多数の同一アレイスライドが作成可能。
MultiPepで合成できるペプチドの最大数はどれくらいですか?
MultiPep 1: 8 (100 μmol) / 24 (15 μmol) / 96 (10 μmol)
1200(SPOT) / 768 (CelluSpot)
MultiPep 2: 48 (100 μmol) / 72 (50 μmol) / 384 (10 μmol)
768 (CelluSpot) / 2400 (SPOTs)